エターナルさいくらー

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ガンマさんと重心移動

 Twitterでくっそ騒いだ自覚のある話題です。たまたま本屋でサッカーの本立ち読みしてたら意外な着眼点をもらいました。

 サッカーにおいて大事な要素……

 それは、「重心」!!!!!

 

 曰く、スキルを磨いてもそれを上手く活かせる体さばきこそが一番基本であり重要なんだとか。

 

 「重心 サッカー」で検索するだけでたくさん出てきます。重心移動のテクをマスターするだけでサッカーが○倍上手くなる! なんて喧伝されていて、重要性を認識させられますね。今の今まで注目しなかった要素なので目からウロコでした。

 

 今日はそんなガンマさんと重心移動について語りたく思います。

 

 

 概要

 そもそもどこのガンマさんの話をしてんだとなるので概要を先にお話しします。

 今回話題にするのはイナクロアニメ18話「みんなが帰ってきた!」のワンシーンです。

(ガンマさんの初登場・初任務のときってタイトルが毎回ガンマさんと関係ないことばっかだよね)

 

 雷門イレブンが中世フランスに向かったと知り、後を追ってタイムジャンプするガンマさん一行。フランスの地に降り立つなり、そばのエイナムくんに奴らの行方を検索しろと命じます。一切の油を売らない、仕事最優先のスマートなリーダーですね。

 と、そこに不意打ちシュートが! しかも狙いは顔面!

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死角からの不意打ちでよく対応できたなって素直に感動

 しかしそこはガンマさん、腕クロスでシュートの直撃を防ぎます。かっっっこよ……。(普通にすごくない? このシーン大好き)

 そしてズザーッと後方に。「誰だ!」と敵意むき出しになるわけですが、今回の主役は「ズザーッと後方に」の部分です。

 コマ送りで見ててもそんなに意識してませんでしたが、実はここにガンマさんのサッカーの実力が高いという公式情報が詰まっているんです!

 すなわち「重心移動」です。

  次に重心とその移動に関して、基本的なポイントに軽く触れてから本題に入りたいと思います。

 

重心とは

Wikipediaから引用

「力学において、空間的広がりをもって質量が分布するような系において、その質量に対して他の物体から働く万有引力の合力の作用点であると定義される」

……重心って、なんやねん。

 文系の私は力学においてとか言われた瞬間にうわあああああってなりました。

 

 非常にざっくり説明すると、

重心とは物体(体)の中心で、そこを支えれば物体(体)全体の重さを支えられる点

のことを指します。(『わかりやすい高校物理の部屋』を参考にしました)

 

重心の位置

 人体の重心の位置に関しては定義があるそうですが、ややこしいので詳しくは省きます。簡単に言うと上半身の重心と下半身の重心があって、その二点を結んだ線上の中点が体の重心となります。

図を見てください

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  要はへその辺りが重心なんです!

 先ほどの重心の定義と合わせればへその辺りを支えられれば体全体を支えられて、逆にできなければ体は倒れてしまうのです。

 ちなみに重心の位置が低いほど体は安定します。△と▽だったら△のほうが安定するというわけです。

 

支持基底面

 △のほうが安定する意味をかみ砕いた概念が支持基底面です。

 字面だけ見ると難しそうな雰囲気がありますが、そんなことはありません。単純に体を支持する(支える)底の面です。

 定義としては「体を支えるのに必要な床面積及びその範囲のこと」を指します。

 そして重心が支持基底面の中に収まっていれば体は安定します。

 足をぴったりそろえて立つよりも、少し足を左右に広げて立った方がふらつかないと感じませんか? それは後者のほうが支持基底面が広くなり、重心をしっかり収められるからです。

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重心移動

 さらに上記の特徴は「重心移動」とも関わってきます。

 支持基底面の中に重心を入れれば体は安定する……。

裏を返せば、支持基底面の外に重心を置けば体は不安定になるということです。

 安定=静止、不安定=動となります。不安定な姿勢はエネルギーを生みやすくなるのです。

 この性質を利用して重心と支持基底面をコントロールすることで、少量のエネルギーで行動開始・停止が行えます。なぜなら力に頼らなくても体が勝手に動ける方に傾いてくれるからです(逆もしかり)

これこそ、重心移動。

 走るときに前傾姿勢になるのも、それだけで前に倒れるエネルギーが生まれるからですね。

 

 重心移動はサッカーのような高持久力が必須のスポーツには大事な能力です。なんせ動いたり止まったりが激しい競技です。

 しかも体勢に無理のない動きをするので故障もしにくくなります。さらにさらに重心の預け方を理解しているとドリブルやブロックもしやすくなります。相手の重心の位置を見抜いたり逆にフェイントをかけたりすることで駆け引きに強くなるメリットがあるのです。

 

 こんな感じに重心・支持基底面・重心移動を意識して見ることで作中のキャラの動きを深く考えられるようになります。

 ではガンマさんの例のシーンに移りましょう(早口)。

 

例のシーン考察

 お待たせさせられました。早くこの内容書きたくてうずうずしてました。

 ある程度コマを抜き出しながら、そこに自分なりの考えと解説を添える形になっています。

(※ここからは画像が多くなります。なお自宅のテレビ直撮り)

 

【シーン1】

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 不意打ちシュート食らった直後のコマです。上半身は地面に対して真っすぐ立てています。

 まだ特筆することはありませんが、ザナークのシュートはガンマさんのほぼ顔面狙いでした。そのため頭──少なくともみぞおち(上半身の重心)より上に力が加わったことは覚えておいてください。

 

【シーン2】

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 上半身を狙われた弊害が出始めています。大きく体が後ろに倒れこみ、足の位置からして重心が支持基底面から外れています。

 このままでは後ろへ転倒、ないしは頭を強打する恐れがあります。(髪逆立ててるガンマさんならワンチャン助かりそう?)

【シーン3】

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 ガンマさん緊急回避。

 画面端で見づらいですが、先ほどより明らかに体がくの字折りになっています。

 その場に留まるために重心の位置を支持基底面に近づけようとしています。綱引きで踏ん張るときと同じ要領です。

 吹っ飛ばされてわずか2コマめで、すでに後方へのケアと減速を兼ねた重心移動を行っています。いやつっよ

 

【シーン4】

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 こちらでは一気に2枚。

 ガンマさんって不意打ちされたわけなので直前までは普通に立ってただけでした。それなのに、足が不自然に開いていませんか?
 よく見たら1枚目の白タイツ(なのかな?)に入ってる黒線が内側を向いてます。2枚目と比較したら分かると思います。

 

 こんな動きになるのは後ろに下がりながらも足を開いているからとしか思えません。

 なのでこの大股開きは支持基底面を広げるための動きと考えられます。体もいまだに前傾姿勢です。後ろに進む動きを止めたいわけですから、前に重心を移動させて相殺しようとしていますね。

 

 足裏をべったり地面にくっつけているのは摩擦係数を最大にするためと考えられます。減速のために1コマ1コマで動くガンマさんすごい。

 

【シーン5】

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 ここからはガンマさんの動きに変化が出ます。それは減速のための動きから停止のための動きにシフトしてるところです。(もっと言うと更にその先の動きも)

 影のつき方、足の左右の長さの違いから左足を後方にずらしていますね。これは止まりやすくする動きと考えられます。

 

 「手押し相撲」をしたことがあるでしょうか。あれでバランスを崩されると後ろに倒れそうになります。

 すると反射的に左右どちらかの足が後ろに下がって安定をとります。重心が後ろに倒れるのを、支持基底面そのものが後ろに伸びることでカバーしようとする動きなわけです。安定=静止。

 

 減速とはいわば、進行方向と逆に向かって重心移動して不安定にすることです。打ち消し合うってことですね。

 このコマのガンマさんは不安定から安定へ、減速から停止に舵を切っているのです。

 完全停止はまだなものの止まることを念頭に置いた足運びをしています。すっご

 

【シーン6】

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  これにて静止!

 前後に足を出しているのは止まるのに役立つとお話しましたが、別の効果も期待できます。それは次の動きに繋げやすいという利点です。

 

 仁王立ちと前後に足を広げた形では安定感に差があります。実際やってみると後者のほうが前後の傾きに強くなれます。

 それと同時に重心を傾ければ再び動のエネルギーが得られます。特に前に動きやすいはずです。ガンマさんの場合、右足は前を、左足は横に向いているので前と横に動きやすくしていますね。

 

 そもそもガンマさんは不意打ちされた身。やっと体が止まってから「誰だ!?」と反応できたんです。第二撃が来ないとも限りません。

 こうした状況を踏まえるとガンマさんの停止する動きには追撃に備える意図も含まれてたと考えられます。左右、前に動きやすくすることで躱しやすくするんですね。

 

 人間が一番対処しにくいのが後ろへの動きなので(重心を安定させにくいため)、ガンマさんのこれら一連の動きがいかに洗練されていて冷静な対応だったか分かると思います。ガンマさんってすげー! オメガ最強は伊達じゃないんです。

 

 

 以上からガンマさんは重心の動かし方を理解し、それを不測の事態にも活用できるほど体に染みこんだテクニックを持つ人だと分かりました!

 冒頭の腕クロスガード、あれサッカーのルールでハンドなんですが、咄嗟の動きで手が出るあたりエージェントなんだな~サッカー選手じゃないんだな~と別方面で滾りました。結論:カッコいい。

 

おわりに

 今回みたいなそこ掘り下げるの?な考察に対して「公式そこまで考えてないと思うよ……」って意見が脳裏をよぎること、あると思うんです。

 しかし思います。そんなことないよ!と。

 

 確かに物によりけりですが、忘れちゃいけないのがイナズマイレブン、ジャンルは超次元サッカーです。サッカーです。サッカー!!!!!

 超次元だろうがなんだろうがサッカーですから、サッカーの動きやテクニックについては現実を参考にしても問題ないと思うんです。

 

 今回長くなるので省きましたが、ドリブルにもいろいろ方向性があったり戦略があったり面白いです。ガンマさん絡みでまた書こうかな、フィジカルとかボールキープとか。

 ではこの辺で! ザナッ