アルファさんの「悔しい」について
ガンマさんを追いかけて8年以上経った私ですが、いまだに分からないことがあります。好きなキャラを調べるうちに周囲のキャラの内面も気になってくる経験、ありませんか? 原因はそこです。
アルファさんの感情が分からねえ……
表情はそこそこ出してくれるんです、特にネガティブな感情は。
でも分からんのです、アルファさんの内面が。
何考えてるかイマイチ分からないアルファさんの性格を今回は自分なりに掘ってみようかなと思います。特に「悔しい」の部分にしぼって見ていきましょう。
※長くなっちゃいました
アルファさんの概要
キャラ理解に大切なこと。それは一にも二にも公式設定。ということでアルファさんのプロフィールです。
「プロトコル・オメガのキャプテン。感情を表に出さずドライに任務を遂行する」
(ゲーム版イナクロ)
「時間に介入することを許されたルート-エージェント。サッカーを消去する任務を負うが、天馬の抵抗を受けて失敗…ムゲン牢獄へ送られた」
(イナズマイレブンGO全選手名鑑2)
「勝利してやっと、雷門に負けた時の悔しさから解放された。悔しさは、サッカー好きの証」
(イナズマイレブンGO全選手名鑑3)
設定としては通る! のですが、問題が。
アルファさん理解への高き壁、「感情はある」と「悔しいを知らない」の共存をどう考えるか。ここですね。
オメガの任務はサッカー選手をサッカーで打ちのめしてサッカー嫌いにさせることです。
感情に訴えかけないといけないので現場裁量が強そうですし、相手がどう感じるかを細かく把握できないといけません。その点はベータちゃんが優秀だと思いますね。(ごめんなさぁい取っちゃった♡)
指揮権まで持っているアルファさんが「サッカーで負ける→負の感情の芽生え」のプロセスを理解できていないと、イナクロ1話の「サッカーは痛い……辛い……重い……(以下略)」が陳腐になってしまいます。
台本読んでんのかとなる。だからアルファさんは感情のプロセスは曲がりなりにも知ってそう。
その前提で「悔しい」をピンポイントで理解できないとか、ある?
アルファさんは感情を表に出さないだけ=決して無感情人間ではない。
しかし「悔しい」は知らない。
加えて引っかかるのが「悔しい」を初体験するタイミングです。普通に考えて遅い気がします。
オメガ三幹部っておそらく一回は手合わせしていると思うんです。
三人のコードネーム自体に優劣があるかは分かりませんが、少なくともアルファさんにとって残り二人は実力的に格上です。当然、敗北の経験もあると思います。
そのはずが「悔しい」とは思わなかった。なので敗北以外の原因がある。
あの雷門戦に敗北とは異なる「悔しい」と感じる要素があった、と考えるのが妥当ではないでしょうか?
「悔しい」とは?
悔しいの定義
まず「悔しい」の意味を理解する必要がありそうです。アルファさんは「胸の奥がうずく、トゲのような感覚」と形容してましたね。
「思うようにいかなかったり、辱められたりして、失望したり、腹立たしく思ったりするさま。」(goo辞書)
「自分のしたこと、または、しなかったことが腹立たしくなる。残念だ。
(相手より自分が劣っていること、相手に負けたことなどに対して)不快である。しゃくにさわる。」(学研国語大辞典 第二版)
まとめると
- 自分の行動に負い目を感じている状態
- または他者と自分を比較して劣等感を覚えている状態
と言えますかね。
雷門に負けたのが悔しいとするならアルファさんの「悔しい」は後者になりそう。しかしそれでも謎は氷解しません。
私見ですけどアルファさんって2戦目(円堂と共闘した時)のほうがボコボコにされてた気がするんです。
時空の共鳴現象くん、顔を貸しなさい。
シュートも2回とも決まらずアームドでも競り負けてましたし(アームドの話はアニメ限定ですが)、劣等感由来の「悔しい」ならそこで覚えてもよさそう。
というかオメガ内での手合わせですでに感じてそう。
やっぱり不思議。
悔しい理由
そんなわけなので「雷門(過去人)に負けたから」は理由として100点ではないのかなと思います。
アルファさんは格上のベータちゃんガンマさん相手に堂々と接しています。一方の二人はそんなアルファさんを「生意気」と感じている。アルファさんは三幹部を一括りにして見ている。認識に齟齬がありそうです。
このあたりからアルファさんは実力比較のフィルターを通して相手を見ないのではないかと思います。
なので「格下の過去人に負けた」は悔しさの直接原因ではなさそう。
ですから天馬くんの回答は△ですね。(俺たちに負けて悔しかったってことじゃない?)
そしてアニメとゲームの展開を見返してみて気づきました。
通算3回目の試合、アニメもゲームも試合展開が同じなんです。
アニオリ展開も多い中で統一するには、理由がある。正確にはアルファさんが使った戦法が同じなんですね。
ずばり「試合時間ギリギリまで守備に集中して、最後に一点取って逃げ切る」戦法
圧倒的実力で蹂躙するイナズマイレブンの敵らしからぬ、悪く言って地味な戦法。
結論を先に言ってしまうと、この戦略を破られて負けたことが「悔しい」の引き金なんじゃないでしょうか。
アルファさんの戦法
2戦目までは普通に戦っていたアルファさんが急に戦略を変えたのは、議長からの最後通告が原因でしょう。確実に勝利を収められる戦い方を選択した結果があれというわけです。
実際、合理的だと思います。
- 最初は守備に徹する→雷門が痺れを切らせば隙をついて攻められる&試合を膠着状態にできる
- アルファさんのアームドシュートは一度も止められたことがない→決定力ある一撃として最適
雷門との対戦データを十分に活かした戦略です。ワンダバも「パラレルワールドでの対戦データがインプットされたようだ」と険しい顔で零していました。
これすごいのはアルファさんに渡されたのは過去の対戦データだけなんですよね。
そこから自分なりに作戦を組み立てて、しかも作戦は効果てきめん。
SDで「後半からは私が指揮を執る」と他リーダー二人に提言していたアルファさんでしたが、納得の戦略性を持っていますね。さすが指揮官。
加えてFWのアルファさんが自陣に戻ってまで防御に徹するあたり、目立ちたい意思もほぼないんでしょう。
アルファさんの行動原理って基本「任務遂行」ですし。(Fーアルファに限ってキャプテンがセンターFWじゃないのも彼らしいです)
派手じゃなくていい。堅実に、確実に勝つ。
アルファさんの戦略にはそんな「彼らしさ」が詰まってるんですね。現場指揮官としてわりと理想像では?
話が若干脇に逸れました。
ここまでの流れを整理すると、高い戦略性を持つアルファさんがつくった戦略はうまくいってたんです。
アームドシュートを止められるまでは。
そうです。アルファさんのアームドシュートは3人がかりのシュートブロック+必殺技で止められてしまいました。作画のパワーがあれば……
この一撃で仕留められると確信していたにも関わらずですよ。でないと自分がフィニッシャーになる作戦組みません。自己顕示欲薄いですし。
シュートを止められ、今までどんな不利展開にも不平を漏らさなかったアルファさんが初めて呻きます。
「何故だ……」
ここにアルファさんの「悔しい」の神髄がある気がします。
- 高い作戦立案能力・指揮能力があった
- 結果、守備に徹して最後に1点入れて勝ち逃げる作戦を立案
- 守備をこなすところまでは順調に進んだ
- しかし、最後の1点は決められず、カウンターされて敗北した
- 勝ち逃げされたのはアルファさん自身だった
なんてご丁寧な上げて落とす!!!!!
ザナッも大概だけどこれは可哀想すぎる……。
こうして見るとただ敗北した=任務失敗だけでなく、
考案した作戦が最後の最後で破られ、裏目に出たことが「悔しい」の原因ではないでしょうか。
自分の強みを活かしきれず負けたことがずっと尾を引いていたアルファさん……。
しかしそれもギル戦を通して解消されるんだから良かった良かった。
逆転勝利を収めただけでなく自分の能力を十分活かして勝てたことが、アルファさんの心を晴らしたんじゃないかなと思います。
ギル戦のアルファさんはオメガアタック警戒を先読みするなど相変わらずの戦術眼を発揮していましたし、神童先輩がオメガ三幹部の能力を把握して指示を出せたことも大きかったんじゃないでしょうか。
アルファさん……良かったね!(クソデカ大声)
おわりに
アルファさんはデータを踏まえて作戦を立案する能力に長け、戦略性に富むプレーを好むという個人的解釈に落ち着きました。
そしてその作戦が破られたり戦略上非効率にはたらく邪魔を入れられると不快に思ったりする。なかなか人間性を感じられます。
書いてて楽しかったです。アルファさんが一段と好きになりました!