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東方酔蝶華37&38話語り第3編 ~その他疑問編~

本記事は37&38話語り第3弾です。

第1編&第2編は以下のリンクからどうぞ。

konton-hakusai.hatenablog.com

konton-hakusai.hatenablog.com

ここでは個人的に気になる細かい謎についてちょこっと書いていきます。(内容によっては情報が足りず薄いことをご了承ください)

 

飯綱丸様の策略

ほんのちょい、降る雪に赤土を混ぜただけです。そこに他意はありません。
それに気づいた貴方や巫女、そして赤い雪に怯えてくれた人間達が勝手に動いてくれる。
願い事を叶えるなんて、簡単でしょ?

カッッッッッ……!
イケメン……!!!!!
やめて……
ほがらかに笑わないで……イケメン……顔が良い……

 

策略なんて固い言葉を使いましたが、言ってしまえばサプライズプレゼントです。

今回の紅雪、飯綱丸様がやったことは本当にただ赤い土を雪に混ぜただけ。
それだけで大勢の人間や妖怪を動かし、方々に利益をもたらしてみせました。

しかも皆が思った通りに動いただけなのに皆に利益が行き渡るという怖いくらい上手い話。

 

それってつまり飯綱丸様は人々がどう感じ、どう動くのかを正確に予測できるわけです。人々の不安が紅雪で煽れることは予想済み。
そんな人々を見て霊夢さんも巫女の立場から何かアクションが必要と考え、ちょうど千亦様と手を組んで市場を開くことになった……。

霊夢さんは巫女としての責任感があり、こういう人間の有事の際にはしっかり動く傾向にあることを飯綱丸様は理解していると思われます。(千亦様のことになると理解が足りないように感じますが)

 

この、一石を投じるだけで世界を動かす手腕は、紫や隠岐奈など幻想郷の賢者が取る手法として描かれてきました。一番分かりやすいのが鈴奈庵35話で示された「孤高の妖怪」の手法ですね。

こんな賢者クラスの理知的なお人でも勢力のトップじゃないなんて、天狗社会は一体どうなっているんでしょう。層が分厚すぎる。文ちゃん大丈夫そう?(飛び火)

 

なにか裏があるのか?

何故この時期を選んだのか?
何故紅雪を選んだのか?
本当に単なる贈り物のためだけにここまでのことをしたのか?

作中には一切描かれてないので分かりません。

個人的には第2編で述べたような理由から、本当にただの善意で紅雪を降らせたものと考えています。飯綱丸様本人も「他意はない」とわざわざ言っていますし、裏の計画とかはなさそう。

 

何故冬の時期? 何故雪? という問いも、実は虹龍洞前日譚として千亦様と飯綱丸様が初めて出会ったのが雪の降る日だった、みたいな記念日設定があるかもしれません。※妄想です

つまり妄想で物語を埋めなければ説明がつけられない疑問だと個人的には思います。二次創作の題材には最適ですね。

 

※飯綱丸様が善意なのは疑いませんが、善意であっても傍目から見てよからぬことを考えている可能性はあります。

「死は救済です。今日もまた新たに人々を救済できました。私は素晴らしいことをしました」みたいなパターンとか、善意ですが思考回路は社会一般的に悪です。

この辺は個人のさじ加減だと思いますが、「千亦殿!どうですか気に入っていただけましたか!(純粋)」もアリだし、
「これでまた千亦殿が私の元に来ていただけるのであれば恐悦至極です(ねっとり)(なんか怖い)(でも善意)」みたいな飯綱丸様もアリってことです。
好きに創作しましょう!

 

文ちゃんはどうなった?

文ちゃんは今回の話における例外枠です。得をするどころか愕然絶望顔に導かれて、事実を伏せた記事を書いた彼女ですが、何かお得なことがあったんでしょうか?

「私は私欲のために真実をかくすことが許せないのです(酔17話)」とまで言っていた文ちゃんの信念が破壊されたように見えましたが……

 

これは個人的想像にすぎませんが、射命丸文が里を混乱させる存在とならずに済んだことが文ちゃんにとっての得だったかもしれません。

闇雲に情報を暴いて人間達を混乱させるなど愚の骨頂(鈴32話・文ちゃん)

天狗の情報機関は悪戯に事実を曝いて話題を集める機関ではない(酔38話・飯綱丸様)

もし文ちゃんが見たままに真実を報じて、しかも害を生むならまさに愚の骨頂、馬鹿、愚か者。
過去の自分の発言がブーメランになって刺さるどころか鴉天狗の恥さらしになりかねません。

しかも今回、最初に人々の不安を抑えるように動いたのは文ちゃんです。初動と同じく秩序維持の姿勢を最後まで貫いただけと言えば、文ちゃんも損はしていない……のかも?

それにしても「あるがままの真実(特に悪意ある事件)を報道する信念」と「幻想郷の秩序の維持を重視する」射命丸文の2つの報道姿勢は折り合いが悪いですね。

今回曲げるしかなかったのは前者の信念=射命丸文個人の思想です。
報道機関所属の公的な立場の射命丸文からすればすべき仕事をしただけであり、やっぱり損してませんね。

 

つまり文ちゃんに用意された得とは「公的な立場の射命丸文」にとっての得だった、と考えられます。
報道機関所属の構成員が「所属機関の役割も分からない愚か者」にならずに済んでよかったね文ちゃん……良かったんですか?

本人も自分の新聞が幻想郷を揺るがす混乱の種になるのは嫌みたいなので、文ちゃん個人としても損せずに済んだ、んでしょうかね?

 

文ちゃんは誰を追って盗み聞きに至った?

千亦様を追ってきたのか?
飯綱丸様を追ってきたのか?

知らん!!作中のどこにも書いてない!!
で切り上げては味気ないので考えてみます。

 

市場を怪しむ文ちゃん

どちらを追ってきたか?という問いはどちらを怪しんだか?と言い換えられます。

文ちゃんの取材の面白い点として「紅雪を降らせた犯人に目星がついているのに、市場を張っていた」こと。

赤い雪が降った『直後』に『突発的』に『神社で市場が開かれた』
これは偶然とは思えないでしょ?

文ちゃんは紅雪と市場の関係を非常に怪しんでますね。
「偶然とは思えない」……つまり文ちゃんの推測は「紅雪を降らし、市場を開くことを一連の目的とした企みがある」ことなのではないか?

市場の主は千亦様、紅雪を降らせた犯人は『天狗』。

となれば文ちゃんの頭の中で浮かんでいた紅雪事件黒幕の最低人数は2人(千亦様+『天狗と考えられます。千亦様を犯人側ひいては主犯格として見なしてるかも。

 

……どっちを怪しんだか絞り込めてないじゃん!

というわけで次の思考ポイントは「文ちゃんが犯人の『天狗』を具体的に特定できていたか?」となります。特定できていない場合、怪しんでる千亦様を尾行したことで確定できますね。

 

ですがこの思考ポイントは判断が難しい。
文ちゃんが自分の推測しうる全ての情報を美宵ちゃんに話さず、一部伏せていることも考えられるからです。

実際38話冒頭で意図的に情報を伏せている文ちゃんが描写されていますからね。

そして文ちゃんが一部伏せた情報の中に「『天狗』の正体は飯綱丸様」が含まれているかもしれない。

 

千亦様を軸とした取材?

これでは考える者のサジ加減一つで結果が変わってしまいます。

そこで思考の柱としたい点が、文ちゃんは『天狗』と千亦様のグルを疑っているらしいこと。
そして紅雪が人為的に起こされたとニラみながらも、市場に潜入していたこと。しかも文ちゃん&美宵ちゃんの2人体勢で。

想像になりますが、文ちゃんは千亦様の調査を軸とした取材を行っていたのではないでしょうか? 表立って動いてるのが千亦様ですし。

実を言うと赤い雪を降らせた犯人に目星がついているの(酔38話)

「目星がつく」、意味は「見当がつく。目当ての人物が決まること」(デジタル大辞泉

「見当がつく」、意味は「はっきりしていない事柄について大体の予想をすること。見込み」(デジタル大辞泉

 

言葉の意味から考えると、文ちゃんは『天狗』の正体を確定できていないが、およそ想像はついているくらいの状態です。確信度80%で飯綱丸様だなーくらいでしょうか。

およそ想像をつけるに至った鍵こそ千亦様だと考えられます。

すでに述べた通り、文ちゃんの推測では『天狗』と千亦様がグルですから、協力者の『天狗』は千亦様の交流関係から選ばれたと予想が立てられます。

そして飯綱丸様と千亦様は東方虹龍洞にてアビリティカード流通の協力関係にあり、千亦様の交流関係の中で天狗は飯綱丸様だけ。

だからおそらく飯綱丸様が紅雪を降らせた、と文ちゃんは予想できた。
逆に言うと千亦様を軸に予想を突き詰めていったため、飯綱丸様だと確信はできていないのです。目星止まり。
(千亦様と飯綱丸様は虹龍洞の件で裏切り合って縁が切れていたこともあり、二人の協力関係を確信できなかったのかもね)

 

話が長くなりましたが、文ちゃんは誰を追ったのか?の結論は「千亦様を追った」となります。文ちゃん目線で確定黒が千亦様だけなので。
動向がはっきり分かるグルの片割れですから尾行もしやすかったことでしょう。

 

余談:なぜ赤土を見かけただけで犯人は天狗?

妖怪の山に大量の赤土が持ちこまれていただけで犯人は天狗と推測する文ちゃん、判断が早い。早すぎるまでないか??

今回の考察では「文ちゃんは千亦様の交流関係から『天狗』の正体を予測した」と述べました。が、千亦様と交流関係を持ち、妖怪の山を拠点にする勢力なんて守矢神社、河童、山童とたくさんあります。

なぜ種族天狗を犯人にしぼったか?

 

おそらく土の置き場所が天狗の縄張り内だったからです。

天狗が捨てたとは言えこの辺りは天狗の領分です。天狗の中に犯人がいる可能性が高く、慎重に調査をしていたところです(酔24話)

このセリフと同じ思考の流れで天狗を犯人と思ったと考えると筋が通ります。

それに、大量の赤土が持ちこまれていたシーンの回想では作業員などの姿は見当たりませんから、土だけ見かけて犯人を天狗と思ったはず。

それなら「赤土を見かけた場所が天狗以外入れない場所」であったと推定すると話が綺麗にまとまると思いました。

 

 

赤土を運んだのは誰だった?

これも知りませんが、考えてみましょう。

考えられる箇所と言えば「持ちこまれた赤土がどこ産なのか」と「それを運べる存在は誰か」の2点ですね。

 

そのためにまず赤土とは何か調べたところ、日本大百科全書(ニッポニカ)にて、大きく2つの意味がある事が判明。

関東ローム層で代表される日本の火山灰の分布地域で、地表の黒土の下にある褐色の土層。

西南日本とくに、東海、中国、北九州、沖縄などに分布する赤色土や黄色土は、火山灰地帯のいわゆる赤土よりも赤みが強く、亜熱帯気候下長期間を経て生成した土壌

要は産出場所と成分の違いなわけですが、ここで注目するのは関東ローム層
小学校で習った気がするこちら、関東平野に分布する火山灰土です。

 

火山と聞いてぴんとくる方もいるかも。妖怪の山は元々神話上の八ヶ岳であり、そして活火山なのです。

妖怪の山は、千年ほど昔に大噴火したのを最後に最近は大人しいが、れっきとした荒ぶる火山である。(東方求聞口授 173ページ)

活火山ということは噴火するわけですから、火山灰が降り積もった土壌が妖怪の山山麓に形成されていても全く不思議ではありません。

すると、赤土の産出場所は「妖怪の山地下」という可能性が浮上するのです。

この大天狗様、また山に穴開けてる……(想像)

 

まさか関東平野や亜熱帯気候から土を取り寄せたりしないでしょう……多分。飯綱丸様のことなので油断できませんが。

とにかく妖怪の山地下から掘り出したと考えた方が自然に思います。

 

これに連動して「誰が運んだのか」で浮かび上がる人物が百々世ちゃんです。
今回の飯綱丸様は千亦様に贈り物をしに来ただけの私人と思っているので、公的な天狗の部下は使ってないと考えています。(部下の私的濫用ダメ!)

であれば飯綱丸様は親友にして天狗社会と無関係の百々世ちゃんに、赤土の採掘と運搬を頼むかもしれません。

百々世ちゃんは掘るのが得意ですし配役にもぴったり。

 

予想外に結構しっくり来ました。原作者の人そこまで考えてない……?

それこそ知りません!!

 

 

長くなりましたが、これにて終わりとなります。

今回の話が酔蝶華6巻で巻頭収録されるんですね……おそらく文ちゃん表紙の巻で。

 

文ちゃん強く生きて。でもとりあえず一回静養した方が良いんじゃないかな!