【あやれいむ萌え語り】霊夢さんは何故文ちゃんと会ったのか【東方酔蝶華8~10話】
こんにちはKオスです。久しぶりにここを使った。
酔蝶華あやれいむ回……!!!の、フィルター全開解釈
もう、この3つの話が好きすぎて。こんなクソデカ萌え成分をオタクはどうやって熱処理したんですか?
長くなりそうなのでさっさと本題に移ります。
今回言いたいことはつまり、
霊夢さんは文ちゃんを頼りたかったのでは
文ちゃんは霊夢さんのために行動したのでは
ってことです。
そんな萌え語りになっていますので、よろしくお願いします。
※今回話題にする全3話は東方酔蝶華2巻にてもれなく全話読めます。やったね! 読もう!
1.「妖怪から人間を守るため」とする霊夢さんの心理
まずは8話のあらすじから。
文ちゃんが鯨呑亭の客連続失踪について調査すると新聞で公言し、情報提供を募る。
失踪事件の犯人は鯨呑亭の看板娘・美宵と知る霊夢さんは、その情報を文ちゃんに報告することを決める。
それに待ったをかける魔理ちゃん。「美宵は妖怪」と新聞に書かれれば、美宵ちゃんは人里に居場所がなくなってしまうだろう。
しかし霊夢さんは反対を押し切り、文ちゃんと会うことを決める。
何故なら霊夢さんの……つまり博麗の巫女の役割は「妖怪から人間を守ること」だから。
霊夢さん「人間に害を為す妖怪が里に居るってハッキリ周知されないと、手を出すのも難しいからね」
ここでの霊夢さんの理屈は
「『妖怪(美宵ちゃん)の退治』を最終目標とし、その障害となる周囲の人間の意識を変えさせよう」
というものです。
周囲の人間の意識を変えさせるために文ちゃんに情報を渡し、新聞にしてもらう
=霊夢さんは人里における文ちゃんの新聞の影響力をある程度評価しているともとれるわけで、そういう意味でのあやれいむポイントも高い。
それは置いておいて、このシーンで大事なのは霊夢さんの思考プロセスです。
A:①「美宵ちゃんは妖怪」と知る→②退治
ではなく
B:①「美宵ちゃんは妖怪」と知る→②里の人間にもそれを周知させる→③退治
となっている点。②が挟まっている。
そして②の達成手段として文ちゃんとの接触を図った点です。
霊夢さん自らが伝えて回れば良いんでないのー?と感じなくもないのですが、霊夢さんなりの理屈はちゃんとあるわけです。ここ、重要。
そして時は流れて梅酒まつりの日当日、文ちゃんと霊夢さんは逢うことになります。(すごくデートに見える)
2.9話の文ちゃんと霊夢さん
イチャイチャしていて可愛いあやれいむ…という意味でも神回のこちら。すごいあやれいむ力を感じる。可愛いってことだけで喋りたくなります。我慢です。
その可愛さと同時並行してとんでもない会話が繰り広げられています。
妖怪(美宵ちゃん)退治の前準備として文ちゃんを呼び出した、という前振りなんですから当たり前ではありますが。
ここからは漫画を1コマずつ追いながら話していきたいと思います。
霊夢さんは手始めに「失踪事件の真犯人=鯨呑亭の看板娘である妖怪の奥野田美宵」という情報を文ちゃんに伝えます。
その決定的と言える情報を得ながらも、3巻収録の幽霊事件の時とは見まごうような裏取りを開始する文ちゃん。「客に手を出すメリットは?」「なぜ美宵を妖怪と思ったのか?」と霊夢さんに質問をぶつけます。
特に「なぜ美宵を妖怪と思ったのか?」に対して霊夢さんの用意した答えは、実にシンプルでした。
霊夢さん「見たし聞いたからよ。本人から」
この前後で文ちゃんの雰囲気ががらりと変わります。ぜひ確認してほしいですが、組んでいた足をほどき、ニヤケ面は鳴りを潜めて一気に顔を引き締めます。
文ちゃん「……何ですって? 本人から聞いた?」
霊夢さん「だから間違いは無い。まあ本人は人間に危害を与えるつもりは無いって言ってたけど」
文脈的に自分が伝えた情報の正確性を補強しつつ、美宵ちゃんの肩も持っている感じでしょうか。
しかしここで「腑に落ちない」とバッサリ切り捨てるのが射命丸文。
文ちゃん「本当に妖怪だと判っているなら私みたいな妖怪(なかま)に報告しないで退治しちゃえば良いじゃないですか。それをやらない理由は何なのです?」
う、うわ~!!!!!
おま、OMAE~~~~!!!!!
クリティカルクエスチョンすぎる~~~~~~!!!!!
しかし、そうなのです。文ちゃんからすればこれは当然の反応。
文ちゃんは事件の真相を探っていました。いわば事件を解く『鍵』を見つけるための前段階……『手がかり』を集める段階でした。
ところが霊夢さんが持ってきた情報は『犯人=美宵』という『鍵』そのもの。しかもその『鍵』自体を当の犯人からもらったと言うんですから、文ちゃんは黙ってられません。
「私を頼る意味ある?」となるのは当然です。
3.霊夢さんの真意?
ですが、まだです。霊夢さんの考える理屈はまだ崩れていません。
①「美宵ちゃんは妖怪」と知る→②里の人間にもそれを周知させる→③退治
「私は②の達成手段として文を頼りたいの」と説明できればOKなんですよね。元々そのつもりだったんですから。本来なら。
しかも霊夢さんは自分の考えを順序だてて他人に説明するのが、実はうまいです。
詳細は触れませんが、文果真報でも「霊夢の行動に疑いを抱く文」というよく似た状況があり、自分の考えを説明して文ちゃんを見事納得させています。実績がある!
なので説明下手ってことはないんです、霊夢さん。
そのはずが、霊夢さんはここで説明放棄!!
「……たまたまよ。機会があればいつでも」と”たまたま”退治していないだけと主張します。
何故? 自分の中にしっかり理屈が組み上がっているのに、どうして説明しないのか? 説明能力が不足してもいないのに?
考えられることは一つ、霊夢さんの理屈そのものが本心ではないことです。
それなら自分なりの理屈を説明しないことも分かります。
そして文ちゃんはそれまで「貴方は退治に動かないといけませんよね?」という姿勢で語っていたのに、自分が解決に動く、という方向で話が進んでいく。
これは……!?
4.霊夢さんの葛藤と美宵ちゃん退治
「妖怪なら問答無用で退治する博麗霊夢」像は近年、軟化傾向にあります。
鈴奈庵の恋文と怨霊回、求聞口授、茨歌仙最終話付近、そして酔蝶華の美宵ちゃんに対する反応などなど……。
『博麗の巫女としての役割』と『霊夢個人の感情』の間で葛藤する霊夢さんが書籍を中心に描かれるようになってきているのです。(茨は必見)
①「美宵ちゃんは妖怪」と知る→②退治の思考プロセスを取らなかったのも退治への葛藤があったと見ることができます。
しかし冒頭の8話あらすじで書いたように、霊夢さんは「でもお役目はお役目だから……」と使命を優先する素振りがあります。自分の肩に背負っている役割の重要性を理解しているんですね。
「退治しなきゃ」と考えた上で、①「美宵ちゃんは妖怪」と知る→②里の人間にもそれを周知させる→③退治の理屈を立てた。その過程で文ちゃんの協力を得ること前提。
これって自分が美宵ちゃんを退治するかどうかを文ちゃんに委ねてるような状況なんですよね。
そうなると文ちゃんが「腑に落ちない」と厳しく突っぱねるようなことを言ったのも単純な自分の協力する意義とは?の他に別の意味を感じてしまいます。
文ちゃんだって妖怪なのに、妖怪を妖怪退治の協力者に据えようとしている霊夢さんに、「巫女としてそれで良いのか?」と諫めたのではないか???
もちろん、文ちゃんがちょうど情報を募ってるからという都合のいい部分があったかもしれない。
それでも求聞口授では否定したがっていた「問答無用な妖怪退治への迷い」、を霊夢さんが文ちゃんに明かした=弱みを見せたのは凄いことですよ!
だからこそ「巫女としてそれで良いのか?」と暗に言われちゃうんでしょうけどね。
なんだかんだ文ちゃんを信頼している霊夢さんを感じ取れる。ここ、あやれいむポイントです。
5.文ちゃんの気遣い(9&10話)
上で終わらないのがこの3連話の破壊力。文ちゃんもしっかり応えてくれます。
霊夢さん「機会があれば、いつでも(美宵ちゃんを退治する)」
文ちゃん「まあ良いです。素晴らしい情報提供有難うございました。失踪事件の謎は劇的に氷解する事でしょう」
やばい。
ヤバイ。
YABAI。
これ!!!!!すごくないですか!???
何がすごいかと言うと全部で3つ!
- 「まあ良いです」→霊夢さんの葛藤を察知した(と思う)のに何も言わない
- 「素晴らしい情報提供有難うございました」→本来霊夢さんの理屈だった「文に情報提供=手がかりを与える」に合わせた〆方をしようとしてくれてる
- 「失踪事件の謎は劇的に氷解する事でしょう」→口では「巫女としてそれで良いの?」「退治しないの?」と非難めいたことを言っていたが、自分が何とかしようとしてる!!!
やばい!!!!
博麗霊夢さんに寄り添いすぎじゃない??!!!!??
文ちゃんが本気で巫女の仕事をしない霊夢さんを憂えて「ったくどうなってるんですか今代の巫女は~」なノリで今までの非難を浴びせていたとしたら、この展開はありえないわけです。
だってそれは霊夢ではなく『博麗の役割』を重視した物の見方だから。
本気で「巫女の役割を果たせ」「自分で退治しろ」と詰め寄るなら「まあ良いです」はおかしいんですよ。(霊夢さんに心の底から呆れたから自分で渋々動いた?うるさいっ!射命丸文はああ見えて情が深いんですよっ!)
しかも文ちゃん、「鯨呑亭に妖怪?大スクープ!」(8話)→「貴方(美宵)の正体を明かして潰すつもりでした」(10話)この変わりっぷり!
8話と10話の間にあるのなんて9話しかありませんよね……???
霊夢さんのために自分が動く射命丸文、めちゃくちゃありますよ。
(そしてこうなってくるといつも霊夢さんのポカを新聞記事にして笑って煽ってるのも警告や冷やかしとは異なった邪推をしてしまうんですよね)
【補足】10話のオチについて
霊夢さんったら文ちゃんに自分の弱みを見せて頼ってる……あやれいむじゃん。
文ちゃんったら口ではあんなこと言っといて霊夢さんのために動いてる……あやれいむじゃん。
などと言ってきましたが。
10話のラストについては少し考えたいです。
文ちゃんは結局美宵ちゃんのことは記事にしませんでした。
代わりに『連続行方不明事件の真相は飲みすぎによる幻覚が原因』と断定記事を書いたのです。
もちろん、嘘ですね。文ちゃんは霊夢さんから直接タレコミを受けたのでこれは意図的な嘘記事なわけです。
何故こんな記事を書いたのか? 真実を書かれたら漫画終わっちゃいますけど
これについて漫画内で明かされている理由は、文ちゃんにとって「妖怪専用鯨呑亭は面白い(都合のいい)場所なので潰すのはとんでもない」というたいへん個人的理由です。
おいおい、射命丸文! 可愛いのは我が身か!? 霊夢さんを裏切ったのか!?
あやれいむ敗れたり!
そんなノリを感じます。
ですがここはあやれいむフィルターを全開にして考えてみましょう。
- 文ちゃんは情報収集の場をゲット
- 美宵ちゃんは退治されずに済んだ
- 霊夢さんは美宵ちゃんを退治せずに済んだ
この3つが真実を伏せたことのメリットになります。
あやれいむとして大きいのはやはり、3でしょう。
文ちゃんが「失踪の真相は酒だった」と公にしたことで「人間に害をなす妖怪・美宵」はいないことにされました。
これは美宵ちゃんを保護すると同時に、
霊夢さんが妖怪退治に踏み切る必要がなくなることにも繋がるのです。
霊夢さんが「巫女の使命」と「自分の感情」に板挟みにされ苦しむこともなくなったんです。そんな妖怪はそもそもいないと周知されましたからね。
巫女の使命遂行としては困りますが、霊夢さん個人としてはこんな形に落ち着いてむしろ良かったんじゃないかな?
記事の訂正を文ちゃんに求めず、いつもなら「嘘だらけの記事」なんて罵倒するところを「腑抜け記事(=意気地なし)」と言ってましたからね。
霊夢さん個人を傷つけさせず、自分もおいしいところを持っていくという文ちゃんのしたたかで狡猾で、ちょっと優しい手腕があってこそ、10話のラストに繋がったんじゃないでしょうか。
結論:スーパーあやれいむ回だった!!!
以上!
最近は東方智霊奇伝もあやれいむの爆弾がすごいぞ!!!